筆者は、結婚相談所を運営する以前から「占い師」として、様々な方の悩みに触れる機会が多かったのですが、少なくないお悩みとして「パートナーの浮気、不倫」という問題でした。

せっかく、縁あって結婚して、子どもさんにも恵まれて、やがて、別の異性に心身共に奪われ家庭が崩壊するという現実を目の当たりにして参りました。

しかしながら、占い界隈では「複雑愛」と称して、浮気や不倫を奨励するかのような需要が多いのが実情です。

そのような風潮自体が「結婚(生活)への不信感」を助長し、「結婚しない人」が増えているようにも思うのですが、もう少し、「なぜ、未婚率が上昇しているのか」を考えてみたいと思います。

男性の所得が増えないから?

令和の今、筆者の親世代(1945年前後に生まれた世代)は、「終身雇用制」「年功序列」が当たり前だった昭和の頃と違い、アメリカの「能力主義」「自己責任論」という考え方や文化が入って来て、雇用形態が大きく変わりました。

また、IT化、AI化の促進で、人じゃなくてもできる作業は、機械やシステムが担う機会も増えています。

企業は、社会貢献のみならず、利潤を追求するのが使命です。利益を上げ続けることは簡単ではありません。相当な企業努力が必要となってきます。

手っ取り早く利益を出すには、人件費を削減する方法があげられるでしょう。雇用するということは、お給料を払うだけではなく、健康で文化的に労働力を提供していただけるように、社会保険や雇用保険などもかけなければなりません。モチベーションを維持していただくためには、賞与も必要でしょう。

このように、より経費が掛かる正規雇用(正社員)という形態ではなく、派遣社員、契約社員、パート・アルバイトなどといった非正規雇用で労働力を確保する企業が増えました。

「しがらみが少ない」「より自由に働ける」などといったニーズで、自ら、非正規雇用という立場を選んで働いている人々もいますし、それはそれで自由なことです。

https://www.mhlw.go.jp/content/000830221.pdf 厚生労働省 

しかしながら、いざ結婚を考えた時、非正規雇用という立場は、社会保険に入ってない、低賃金、賃上げも無し、という状態の方が多く、男性にとっては、当然、結婚して妻子を養う経済的余裕、精神的余裕はないのが伺えます。

仮に、結婚をしようと思い、恋愛や出会いの機会が少ない方が、結婚相談所に問い合わせてこられますが、年収が少ない(350万以下)男性の場合は、入会こそできても、なかなかお見合いが組めないのが実情です。

平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html

このグラフは、男女別ではありませんが、年収が増えていないことがよくわかります。

1991~3年にバブルが終焉、年収の減少傾向が続き、2008年のリーマンショックでは非正規雇用の雇止めにより、一気に年収が下がりました。グラフは、2018年までとなっておりますが、2020年以降は、コロナで減収が予想されます。

女性が大学に進学し稼ぐようになったから?

では、「女性が稼ぐようになったため男性を必要しなくなった」から、結婚する人が減っているのでしょうか?女性が社会進出したといっても、まだまだ、男女の賃金格差は大きいです。

令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/01.pdf

月給25万円で安心して女性が一生一人で生きていけるでしょうか。

贅沢しなければ食べてはいけそうですが、長い人生何が起こるかわかりません。病気になって働けなくなるかもしれませんし、失業することもあるかもしれません。これは、男性も同じです。

また、生活はできたとしても、女性は一般的に「誰かに頼りたい」と思うものです。

収入が多い、少ないに関わらず、パートナーを求めることの方が自然ではないでしょうか。これも女性に限ったことではなさそうですね。

インターネットポルノの氾濫

確かに、男性の収入が減って、精神的にも経済的にも結婚する余裕がないということは、結婚しない(したくてもできない)理由の一つには間違いないでしょう。

筆者が、結婚しない人(特に男性)が増えた原因として一番感じることは、インターネットポルノの弊害です。

昔は、極端に言えば、「『結婚しないとセックスできない』状態が当たり前」でした。

性的欲求を満たすためには、「お金を払って」「隠れて」ポルノを「買わないといけなかった」環境から、スマートフォンの普及で一気に「手軽に」「簡単に」そして「無料」で触れることができるような環境になってしまった時代に生きているところが大きいように思います。

インターネットで無料で閲覧できるポルノは、自分の好みの女性を探し、その女性のポルノ動画を頻繁に見続ける事により、さらに刺激を求め、より過激な内容へと向かわせます。

そして、ポルノと自慰行為(マスターベーション、オナニー)はセットです。そこで受ける刺激があまりにも強いため、やがて生身の女性に関心がいかなくなってしまったり、せっかく交際相手ができたとしても、その彼女を目の前にしても行為ができない(ED)そうです。

夜な夜な、ネットで、自分好みの女の子を探し求め、そこで自慰行為に耽ったり、アダルトチャットをしたりしていては、やがて、女性を尊重する感覚や結婚の価値も意義も見失ってしまいます。

本来、セックスとは「信頼し合う男女が粛々と行うもの」であったように思います。少なくても「いつでも」「どこでも」「誰」とでも、もちろん「複数で」行うものではなかったのです。

インターネットポルノの世界は、現実と著しく乖離しています。女性一人の複数の男性が行為に及ぶ、書くのもためらわれるような動画であふれています。それが無料で無制限に閲覧できるのです。

調べ物をしようとインターネットを使う際に、何度も何度も卑猥な画像や文章、動画など、広告として次々と小さい年齢の頃から見せられ続けていると、やがて、好奇心から見てしまいインターネットポルノの閲覧が辞められなくなる恐ろしい時代に、私たちは生きています。

「オナ禁」って何?

毎晩毎晩、ネットでポルノを探し、見続け、自慰行為に耽る生活は健康的でしょうか。

最近、Youtubeで、そのような生活から抜け出すべく、自慰行為をしない、ポルノを見ないいわゆる「オナ禁」生活に挑戦している男性たちのチャンネルがいくつもあります。

彼らの体験談を聞くところによれば、「今まで時間を浪費していた」「(オナ禁生活をすることによって)集中力が高まり仕事のパフォーマンスが向上した」「自分に自信を持てるようになったので、自分の話ばかりベラベラ話すことは無くなった」

そして、「女性に対する見方が変わった」と言います。

女性を性のはけ口、性の対象としか見ていなかったけれど、尊く見れるようになったことで、女性と知り合っても(下心がなくなったので)ガツガツしなくなり、ある意味「余裕」が生まれ、返って、女性からモテるようになった、と言うユーチューバーさんもいました。

また「セックスレス」という話もよく聞きますが、セックスレスの遠因もインターネットポルノ(アダルトチャット含む)にあるように思います。

「自慰行為自体が悪い」ということではなく、生活に支障が出るほど(依存症)インターネットポルノの視聴が夫婦関係の破綻や人生にダイレクトに弊害をもたらすということです。

インターネットポルノは、麻薬のように、長年習慣化すると脳が委縮することもわかっています。いわゆる「依存症」の状態です。

これから結婚する人も、結婚した人もインターネットポルノを生活に持ち込まぬよう、一線を引きたいものです。